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  • 「貧血」の症状――疲れやすい、息切れ、立ちくらみに気づいたら、食事で対策を

「貧血」の症状――疲れやすい、息切れ、立ちくらみに気づいたら、食事で対策を

貧血は女性に多く、月経のある人の5人に1人は貧血といわれています。貧血は慢性の病気が原因となって起こることもありますが、女性の場合は、血液中のヘモグロビンの材料である鉄が不足して起こる、「鉄欠乏性貧血」が多くを占めます。めまいなどの目立った症状がなくても、顔色が悪い、疲れやすい、といった症状がある場合、その原因として貧血が隠れていることもありますから、健康診断などで貧血と指摘されたら必要な検査を受け、対策を始めましょう。

血液中の酸素が不足して起こる症状

貧血は血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの濃度が低くなって起こります。赤血球には酸素を体のすみずみまで運ぶ役割がありますが、その働きを担っているのがヘモグロビンです。鉄分が不足すると、全身に酸素を運ぶことができなくなり、立ちくらみ、息切れ、めまい、ふらつき、頭痛などの症状が起こります。

貧血が女性に多いのは、月経による出血で鉄不足になるためです。とくに子宮筋腫や子宮内膜症などがあると過多月経になりやすく、貧血にもなりやすいといえます。

●貧血の主な症状

  • 疲れやすい
  • 倦怠感がある
  • 顔色が悪い
  • めまいや立ちくらみがする
  • 階段を上がると息切れがする

※このほか、爪が割れる、氷を食べたくなる、などの症状がみられることもあります。

ダイエットや偏った食事内容から鉄の摂取が不足し、貧血になる場合もあります。貧血であっても症状がない人も多く、また、ゆっくり進行するために疲れやすい、顔色が悪いなどの症状があっても貧血だと気づかないこともあります。閉経した女性や男性で貧血が見られた場合は、胃や大腸の潰瘍やポリープからの出血が考えられます。そのほか、胃、大腸、子宮がんなどによる出血が原因になることもあります。

貧血かどうかを判定するには

健康診断の血液検査の項目にある「ヘモグロビン(Hb、血色素)」の数値を確認しましょう。40歳以上を対象とした特定健康診査(メタボ健診)でも、貧血が疑われる人に対しては、貧血の検査(血色素量、ヘマトクリット値、赤血球数の測定)が行われることになっています。もし貧血の詳しい検査を指示されたら、内科や血液内科を受診しましょう。

●〈貧血の判定基準〉ヘモグロビン濃度

一般の基準(WHOの基準)
男性:13g/dL未満
女性:12g/dL未満

ふだんの食生活を見直して、しっかり栄養補給を

ヘモグロビンは、鉄を含む「ヘム」という色素とたんぱく質の「グロビン」が結合したものです。日常生活では、食事で鉄をはじめ、ヘモグロビンの材料となる栄養素をしっかりとることが重要です。

成人男性で約1mg、女性では約0.8mgの鉄を1日で失っているといわれます。女性は月経によりさらに1日0.5mgくらいの鉄を失うといわれているので、食事からより多くの鉄を補う必要があります。食事に含まれる鉄には「ヘム鉄」(レバーや赤肉、赤身の魚などに多く含まれている)と「非ヘム鉄」(野菜や卵、豆乳などに多く含まれている)があり、ヘム鉄のほうが体内への吸収率が高いといわれています。ただし、非ヘム鉄もビタミンCと一緒にとると吸収率を上げることができます。1日に成人男性は7.5mg、女性は10.5mg(月経のないときは6.5mg)の鉄分をとることが推奨されています。

たんぱく質もヘモグロビンの材料となるので、肉や魚など、鉄とたんぱく質を多く含む食品をしっかりとりましょう。サプリメントを利用するのも一つの方法ですが、まずは食事で鉄分をしっかりとることを心がけ、サプリメントは補完的に利用するようにしましょう。

◎栄養素の数値は「厚生労働省、日本人の食事摂取基準2020年度版」より

主な食品の目安量に含まれる鉄量

次の食品を上手に組み合わせて1日に必要な鉄分を摂取しましょう。

●ヘム鉄を多く含む食品

  • 豚レバー(生50g) ……6.5mg
  • 鶏レバー(生50g) ……4.5mg
  • 牛レバー(生50g) ……2.0mg
  • かつお(生50g) ……1.0mg
  • きはだまぐろ(生50g) ……1.0mg
  • くろまぐろ(脂身生50g) ……0.8mg
  • くろまぐろ(赤身生50g) ……0.4mg
  • めざし(焼1尾20g) ……0.9mg

●非ヘム鉄を多く含む食品

  • 調整豆乳(200g) ……2.4mg
  • 糸引き納豆(50g) ……1.7mg
  • 大豆(ゆで50mg) ……1.1mg
  • 小松菜(ゆで75g) ……1.6mg
  • 春菊(ゆで75g) ……0.9mg
  • ほうれん草(ゆで75g) ……0.7mg
  • ひじき(ステンレス釜製、ゆで50g) ……0.2mg
  • ひじき(鉄釜製、ゆで50g) ……1.4mg

◎文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より鉄量を小数点第2位で四捨五入して算出
◎食材の重量は1回の目安量

放置すると重症化することも、原因に応じた治療を

検査で軽い鉄欠乏性貧血と診断された場合、そのままにしたからといって必ずしも重症化するとは限りませんが、放置すれば体内での酸素不足の状態が続くことになります。動悸や息切れ、慢性的な疲労感などの症状が起こってくる可能性があるほか、酸素不足によって臓器の働きに悪影響を及ぼし、心臓にも負担がかかる恐れもあります。貧血は放置せずに、食生活の見直しなど、症状や検査値に応じた対策を始めましょう。

食事で鉄の補給に努めても改善しない場合や、すでに貧血の症状があり日常生活に支障をきたしている場合は、医療機関での治療が必要です。医療機関では鉄剤が処方されます。

鉄剤を服用すると多くの人はヘモグロビン値が戻って症状が改善し、これまでの疲れやだるさが貧血によるものであったことがわかります。ただし、症状がなくなっても、鉄不足を解消し、体内に鉄を十分に貯蔵するためには3カ月から半年ほどの服用が必要です。体内に貯蔵されている鉄分の量が十分かどうかは、血液中のフェリチンの量を調べる検査でわかります。フェリチンは全身の細胞に含まれている、鉄を含むたんぱく質です。

鉄剤の服用によって下痢や便秘、胃の不快な症状などの副作用がある場合には、シロップや、注射や点滴で鉄を補給する治療もあります。

 

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