空気が乾燥する冬は、肌も乾燥し、かゆみが起こりやすくなります。乾燥によって皮膚の外側の角質層や、その表面を覆う皮脂膜に異常が生じるのが、かゆみの起こる原因です。新型コロナウイルスの感染予防のためにも、室内を加湿し、クリームやローションなどの保湿剤を適切に使用して、冬に起こりやすい肌のかゆみを予防・改善しましょう。
冬は屋外の空気が乾燥するだけでなく、室内もエアコンなどの暖房を使用することによって乾燥します。皮脂の分泌も減少して角質層から水分が蒸発しやすくなります。
皮脂の分泌は加齢によっても減少し、年齢とともに新陳代謝も低下して皮膚の乾燥を招きやすくなります。中高年以降の人に、冬にかゆみをうったえる人が多いのはそのためです。
もともと皮膚には、潤いを保つために次のようなバリア機能が備わっています。乾燥によってその機能が損なわれ、かゆみなどのトラブルが起こりやすくなります。
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肌荒れ、かさつき、かゆみなどの症状を引き起こす
●進行性指掌角皮症(手荒れ・主婦湿疹)
水仕事を日常的に行うことによって起こりやすい。潤いを守る皮脂膜などの皮膚のバリアが、水仕事や洗剤によって崩れてかゆみが起こる。ひどくなるとひび割れや出血が起こることもある。
●皮脂欠乏症(乾皮症)
すね、太ももや腰、わき腹などにかゆみ、かさつきを起こす。粉をふいたようになり衣服に付くことも。ひどくなると赤みが強くなり、我慢できないほどのかゆみが起こることもある。
*このほか、冬は室内外の温度差が原因となる「しもやけ(凍瘡:とうそう)」も起こりやすい。寒さによる血行障害、皮膚の炎症などにより、かゆみが起こる。
冬の空気の乾燥は、かゆみなどの皮膚症状だけでなく、新型コロナウイルスやインフルエンザなど、感染症にかかるリスクも高めます。湿度が低いと鼻の中の粘膜の働きが弱くなり、ウイルスが侵入しやすくなるためです。そこで、かゆみ予防だけでなく、感染症予防のためにも、加湿器を使って室内の湿度を40~50%程度に保ち、空気の乾燥を防ぎましょう。
また、コロナ禍で手洗いの回数が増え、手の乾燥が進みやすくなっています。皮膚の保護のために保湿剤を使うようにしましょう。保湿剤にもさまざまな種類があります。基本的に肌のトラブルが起こらなければ何を使っても問題はありません。医療用の薬と違って厳密に量が決められているわけではありませんが、控えめに塗ると十分な効果が得られないので、たっぷり塗ることをおススメします。
水仕事のときは、皮脂が流れやすい熱めのお湯や、刺激の強い冷たい水は避けましょう。洗剤を薄めたり、シリコンなどの手袋を使うのも有効です。
かゆみが強い場合は、ジフェンヒドラミン塩酸塩などの成分を配合した市販薬が向く場合もあります。薬局やドラッグストアで、薬剤師や登録販売者に相談するとよいでしょう。
乾燥対策に努め、保湿剤をしっかり使っても症状が抑えられない場合は、皮膚科を受診しましょう。詳しい診断を行ったあと、ステロイド外用薬を含め、症状に合わせた薬が処方され、症状の改善が図られます。