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第10回 特別編
こころを優しく見守ってくれる「身近な友人」
『マンガ こころの日曜日』

1994年の発刊以来、続編を含めてミリオンセラーとなった『こころの日曜日』。その中から厳選した18本のエピソードをマンガに描き起こした『マンガこころの日曜日』が今年発売となりました。同シリーズの初めから携わってきた編集担当者Sに、発刊までの思いを聞きました

2021/12/27

心理カウンセラーの知見が詰まった原著

――『こころの日曜日』をご存じない方のために、簡単に本の内容を紹介してください。

原著である『こころの日曜日』は、読者のこころを優しくほぐす、ものの見方や考え方をエッセイ形式で紹介した本です。45人の心理カウンセラーの珠玉の知見が、わかりやすく平易な言葉で書かれています。1994年の初版発売以来、続編が4巻まで発刊され、累計でミリオンセラーとなりました。今年新たに発売された『マンガ こころの日曜日』は、その中の選りすぐりのエピソード18本を1本につき5ページのマンガで紹介した本です。新作のエッセイや、自分の性格傾向のチェック、物事を見る枠組みを変えて、別の枠組みで見直す方法(リフレーミング)などのコラムも掲載しています。

2021年発行『マンガ こころの日曜日』と1994年発行『こころの日曜日』
2021年発行『マンガ こころの日曜日』と1994年発行『こころの日曜日』

――『こころの日曜日』原著の企画はどのようにして生まれたのでしょうか。

日本ではひと昔前まで、心理カウンセラーという存在は一般的ではなく、メンタルヘルスの専門家といえば精神科医と思われていました。メンタル疾患は年々増加していましたが、こころの健康を体の健康と同じように取り上げるような時代ではありませんでした。そんなとき、学習院大学学生相談室の菅野泰蔵先生のお話を伺う機会があり、精神科医ほどハードルが高くなく、親しみやすい『心理カウンセラー』という心の伴走者ともいえる存在を知りました。そこで、心理カウンセラーの方々の知見を集めた本を作ったら、その存在を日本国内に広げることができるのではないか、それによって、こころが原因となって悩んでいる人たちの一助になるのではないかと思い、原著の企画が生まれました。菅野先生と、「長く読み継がれる聖書のような本を作りたいですね」とお話ししたことを今でも覚えています。

マンガ化することで、新しい発見が!

――『こころの日曜日』原著の中から、どのような基準でマンガ化する18本を選んだのでしょうか。

コロナ禍など2020~2021年の社会状況のなかでも役に立つ普遍的なテーマのエッセイを、まず25本ほどに絞りました。そのあとマンガの絵柄に向いているものをマンガ家の松本真希さんに選んでもらい、菅野先生と私で最終的な18本を決定しました。18本はすべてが異なるテーマで、その多様性が『マンガ こころの日曜日』の魅力の一つでもあります。掲載されているエピソードは総勢14名の先生にご執筆いただいているのですが、18本それぞれに深い思いが込められていることを、マンガ化するなかで改めて感じました。また、新しい気付きもありましたね。

――それはどんなことですか?

扉イラストとマンガによって、各話のテーマがさらに深くわかりやすく伝わり、「こういうことが言いたかったのかな」など、新しい発見があることです。本書の第1章ではいろいろな生き方や考え方について触れていて、そのうちの1本に「ネコを見習え」というタイトルのエピソードがあります。生き方、考え方について、心理カウンセラーがネコを例に挙げて語るのですが、ネコがゴロゴロしたり、のんきに過ごしたりする様子がマンガではコミカルに親しみやすく、時にはシュールに描かれています。マンガのラフを受け取ったときに、文章を読むだけでは気付かなかった奥深さがあり、これは面白い本になるな、と思いました。

本書10ページ掲載「ネコを見習え(原作:菅佐和子)」より
本書10ページ掲載「ネコを見習え(原作:菅佐和子)」より

――各エッセイのマンガ化は、どのような手順で進められたのでしょうか。

まず編集担当の私が、扉イラスト(1ページ)とマンガ(4ページ)の全5ページを1話とし、90ページで18話を掲載した、合計128ページの書籍にする……と全体の構成を決めました。本書の中のセリフやエピソードの展開もできるだけ原著に忠実になるように松本真希さんにセリフとコマ割りをしてもらい、でき上がったラフをチェックした後、ペン入れ作業に入る……という手順で制作を進めました。原著の内容とまったく同じ展開を絵柄に起こしてみたときに話がスムーズではなくなってしまう箇所もあったため、基本の部分はそのままに、よりマンガとして読みやすい構成になるように試行錯誤をしました。

末永く本棚に置き、何度も愛読してほしい

――この本が今の私たちにとってどんな力になってくれるでしょうか。

世の中の仕組みや価値観がより複雑になっています。さらに、コロナ禍の今、私たちはかつて体験したことのないストレスにさらされ、こころの不調を訴える方が増えていると報道されています。さまざまな悩みに心身を揺さぶられながら現代を生きる私たちにとって、こころと気持ちのほぐし方の重要性はよりいっそう増してきていると思います。この本に載っている、カウンセリングの現場で40年以上患者さんと向き合ってきた心理カウンセラーの方々の言葉は、そんな私たちのこころを支える力になってくれるはずです。

――この本をどのように読んでほしいか、イメージがありましたら教えてください。

この本は、セリフとマンガの絵柄ひとつひとつに原著のエッセンスが丁寧に反映されていて、読んだ方のこころを優しく見守ってくれる「身近な友人」です。また、読んだ回数だけ新しい気付きがあることでしょう。末永く本棚に置いて、どのページからでも、寝ころびながらでも、気が向いたときに、何度でも愛読していただけましたら幸いです。 シリーズ累計100万部突破。ベストセラー「こころの日曜日」待望のマンガ化。名カウンセラーの珠玉の言葉があなたとあなたの大切な人のこころと気持ちをほぐします。ぜひお手に取って読んでみてください。

書籍のご紹介

【著者紹介】
編著・菅野泰蔵 : 1953年東京生まれ。臨床心理士。学習院大学学生相談室、代々木の森診療所などの心理士を経て、カウンセリングを社会に定着させるべく、1996年、東京カウンセリングセンターを設立。現在、同センター所長。産業、医療、教育等、幅広い領域で臨床活動を行う。主な著書に『こころの日曜日 1~4』、『なんとかなるさと思える本』、『カウンセリングがわかる本』、『新こころの日曜日』(法研)、『こころがホッとする考え方』(すばる舎)など多数。

マンガ・松本麻希 : 埼玉県生まれ、現在千葉県市川市在住。電子書籍関連の会社でWEB制作などに携わる。会社勤務の傍ら、イラストレーター活動を開始。2009年よりフリーに。明るく〝ゆるっ〟とした、コミカルタッチのイラストやマンガを中心に活動。主な著書に『マンガ免疫力が高まる27の生活習慣』(法研)、『世界一やさしい!栄養素図鑑』、『キャラで図解!栄養素じてん』、『世界一やさしい!アロマ図鑑』(新星出版社)、『鎌倉女ひとり旅』(中経出版)など多数。

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