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幸せな人生のカギは健康寿命にあり!!
トップクラスの大分県の取り組みは?

健康寿命とは、寝たきりや認知症などによって要介護の状態になったり、何らかの病気や健康上の問題のために日常生活を制限されたりせずに生活できる期間のことをいいます。平均寿命と健康寿命の間に年数の差が少ないことが、幸せな人生を送ることができたかどうかを推しはかるポイントのひとつといえます。国では2000年からスタートした国民健康づくり運動「健康日本21」のなかで、健康寿命を延ばすことを大きな目標のひとつに掲げています。

この10年で健康寿命は延びている

日本人の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳、それに対して健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳(いずれも2019年のデータで比較)となっており、両者の差は男性8.73年、女性12.07年となっています。

日本は世界に誇る長寿国ですが、平均寿命と健康寿命には、男女とも10年前後の差があります。健康寿命を延ばしてできるだけこの差を縮めることが、人生をより幸せなものにするのはもちろん、医療費や介護費用を減らすことにもつながります。

国が「健康日本21」で健康寿命の延伸を目標に掲げ、さまざまな取り組みを行ってきた結果、2010年と比べて健康寿命は男性で2.26歳、女性は1.76歳延びており、確かな効果が得られています。その背景には、健診の受診者数が増えたことや、禁煙する人が増えて喫煙者が減少したこと、健康意識の高まりとともに生活習慣の改善に取り組む人が増えたことなどが考えられます。

さまざまな病気の予防と治療の効果がアップ。一方で残る課題も…

健康寿命延伸の理由として、高齢者の意識や行動、周囲の環境の変化があげられます。たとえば、積極的に外出・社会参加する高齢者が増えたほか、健康づくりをサポートする施設が充実して運動を習慣化する人も増えています。その影響もあり、要介護の大きな原因となる骨折や、脳血管疾患が減少しています。

がん対策の影響もあげられます。がんの死亡率が下がっており、とくに胃がん、肝臓がん、肺がんが減少しています(国立がん研究センター)。これはがん検診による早期発見のほか、胃がんを招くヘリコバクター・ピロリの除菌治療、肝臓がんの原因となる肝炎ウイルス対策、肺がんの原因となる喫煙対策などにより、「がん予防」の効果が現れたものと考えられます。

逆に健康寿命の延伸を妨げる、解決すべき課題として、メタボリックシンドローム該当者・予備群の増加とその主要因である肥満者の増加があげられます。メタボリックシンドロームはその時点では病気とはいえなくても、放置すれば脂質異常症や糖尿病、高血圧症を発症し、動脈硬化が早く進んで虚血性心疾患や脳血管疾患のリスクを高めます。その対策として、特定健康診査(特定健診、メタボ健診)の受診と、特定保健指導の積極的な活用、各人の生活習慣改善への取り組みが求められます。

女性のがんである子宮頸がんや乳がんの患者が増加傾向にあることも課題です。どちらのがんも早期発見・早期治療によって完治できる可能性が高いだけに、もっと多くの女性にがん検診を受けてもらうことが必要です。また、高い予防効果が確認されている子宮頸がんワクチンを推進することも不可欠です。

自治体トップ、大分県の積極的な取り組み

健康寿命を延ばすために、全国の各自治体ではさまざまな取り組みを行っています。厚生労働省が2019年に行った調査の結果、都道府県別に健康寿命の長さをみると、男性の1位は大分県(前回2016年の調査では36位)で、女性でも同県は4位(前回調査では12位)となり、全国トップレベルの長寿県となりました。

大分県というと風光明媚で有名な温泉地を有し、海や山の幸にも恵まれていて、健康的なイメージが伝わってくるかもしれませんが、前回調査では男性の健康寿命が下位に低迷していました。大分県では2015年に「大分県長期総合計画『安心・活力・発展プラン2015』」を策定し、健康寿命日本一を県の目標に掲げ、県民総ぐるみで健康づくりができる環境整備に取り組んできました。たとえば、下記のように運動と食事管理を自然に楽しく続けられるような仕掛けを考案しました。

●ポイントがたまる「おおいた歩得(あるとっく)」…歩数に応じてポイントがたまるスマートフォン用のアプリを作りました。無料で使用でき、たまったポイントに応じて県内の協力企業から商品の割引などのサービスを受けられる特典があります。

●「うま塩もっと野菜」で食生活改善…おいしく減塩をしながら、野菜をたくさんとれるレシピを作成し、それを広める活動を行ってきました。飲食店に減塩、野菜豊富なメニューの提供を呼びかけ、スーパーマーケットや配食サービスを行っている企業に同様の提案を行っています。

●職場ぐるみで健康管理…県内の事業所に呼びかけて、従業員の健康づくりを県が後押ししてきました。健康経営を推進する事業所は「健康経営事業所」として認定され、県内の登録数が2,200を超えるまでになっています。

上記のような取り組みを続けた結果、大きな実を結んだといえます。

ちなみに男女とも2位となったのが山梨県で、こちらも全国トップレベルの健康長寿県です。山梨県では、県民が健康に配慮した食事を選択できるように、コンビニエンスストアや飲食店等と連携し、エネルギー量と塩分を抑え、野菜を増やした「やまなししぼルトメニュー」を広めるなど、健康寿命の延伸を目指してきました。

このほか全国各地の自治体が住民の健康データをまとめて、肥満の予防・改善を推進したり、その地ならではの観光資源を生かしたスポーツイベントを開催するなど、健康づくりをサポートする取り組みを行っています。

「健康寿命を延ばしたいけれど、どうすればよいかわからない」という人は、まずお住まいの自治体の健康づくり事業を調べ、積極的に参加してみてはいかがでしょうか。

 

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