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  • なかなか治らないときは検査を「胃もたれ」

なかなか治らないときは検査を
「胃もたれ」

胃の中に食べ物がとどまっている感じがする、胃が重たい……胃にこのような不快な症状が現れる「胃もたれ」。暴飲暴食、胃の働きの低下、自律神経の乱れなどが主な原因です。多くの場合、生活習慣を改善することによって症状は出なくなりますが、症状が長引くときは胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎などの病気が原因となっている可能性もあるので、「たいしたことはないだろう」と自己判断せず、専門医への受診も検討しましょう。

胃の働きと胃もたれの主な原因

胃は筋肉でできた袋状の消化器で、まず食道から送られてきた食べ物を一時的に蓄えます。続いてぜん動運動(波打つような動き)によって食べ物を胃液と混ぜ合わせて粥状にし、およそ3~4時間ほどかけて少しずつ十二指腸へと送り出します。胃もたれは、これらの働きがスムーズにいかなくなることによって起こります。胃もたれの主な原因には、次のものがあげられます。

●暴飲暴食…食べすぎや飲みすぎ、脂っこいもののとりすぎなどは、消化に時間がかかるため、胃もたれの原因になります。

●胃に負担のかかるものの摂取…香辛料などの刺激物は胃粘膜を荒らす原因になるので、胃もたれを招く可能性があります。カフェインやアルコールは適量であれば胃酸の分泌を促し、消化を助けるとされていますが、習慣的にたくさんとると胃粘膜を荒らして胃もたれや胃痛などを招く恐れがあります。

●ストレス…胃は自律神経(交感神経と副交感神経)がバランスよく働くことによって食べ物を消化し、消化したものを十二指腸に送り出しています。しかし、ストレスが多いと自律神経のバランスが乱れ、これらの働きが低下してしまいます。

●加齢・妊娠…高齢になると胃のぜん動運動が衰えて食べ物の消化に時間がかかり、胃もたれが起こりやすくなります。また、妊娠すると女性ホルモンの分泌が変化することや、子宮が大きくなって消化器が圧迫されることによってぜん動運動が低下し、胃もたれを感じやすくなります。

●ピロリ菌…飲み水などを介して口から胃に侵入したピロリ菌が胃粘膜にすみつくと、胃の粘膜に慢性的な炎症が起こり、胃もたれなどの症状が起こることがあります。

上記のほか、喫煙も胃粘膜の血流を低下させるため胃もたれの原因になります。

胃もたれなどの症状を抑えるセルフケア

胃に負担をかけない食生活を心がける

胃の不調を解消するために、まず食生活を見直して改善を図ることが大切です。

●食事はゆっくりかんで食べる…よくかむことで食べ物が細かくなり、唾液と混ざり合って消化されやすくなります。ひと口最低30回はかむようにしましょう。

●満腹になるまで食べず腹八分目に…1日2食、1日1食といった食生活では、空腹感を強く感じるために食べすぎを招きやすくなります。1日3食をできるだけ決まった時間に規則正しくとり、間食はなるべく控えましょう。また、満腹になるまで食べずに「八分目まで」を目安にします。

●胃に負担をかける食べ物はとりすぎない…胃の調子が悪いときには「辛いものや酸っぱいもの」「冷たいもの、熱いもの」「カフェインが含まれる飲み物」「アルコール」は控えるようにしましょう。

自律神経の働きを整える

胃は、自律神経のうち副交感神経が優位になるとぜん動運動などの機能が活発になり、逆に交感神経が優位になると機能が低下します。ストレスは交感神経を優位にさせるため、胃の機能低下を招く大きな原因になります。

●規則正しい生活で十分な睡眠をとる…決まった時間に就寝・起床して十分な睡眠をとり、食事は1日3回きちんととるなど、生活のリズムを規則正しく整えましょう。

●ウオーキングなどの適度な運動…ウオーキングなどの有酸素運動は、ストレス解消や自律神経を整えるのに役立ちます。ウオーキングなどのリズミカルな運動を行うと、脳内の神経伝達物質であるセロトニンが活性化され、不安感などを減らす効果があるといわれています。

●ぬるめの湯に入浴、ゆっくり深呼吸…38~40度のぬるめの湯にゆったり浸かると副交感神経が活発になり、逆に熱い湯は交感神経を活性化させます。また、ゆっくり深呼吸(腹式呼吸がよいとされるが、通常の呼吸でもよい)を行うのも効果的です。息を吸うときは一気に吸い、吐くときは細く長く吐くのがポイントです。

胃もたれが続いたら、病気の可能性を考えて検査を受ける

胃もたれなどの不快な症状が長引いている場合、胃潰瘍や胃炎、流動性食道炎、胃がんなどの病気が隠れていることがあります。セルフケアを行っても症状が改善しない場合は、消化器内科などを受診し、これらの病気が隠れていないか確認しましょう。

医療機関では、まず内視鏡検査を行って胃の状態をチェックします。また、ピロリ菌の有無を調べる検査をすすめられることもあります。ピロリ菌の検査には、内視鏡を使って組織を採取して調べる方法や、呼気や血液、尿、便を採取して、ピロリ菌の抗体などを調べる方法があります。ピロリ菌の検査は、内視鏡検査で胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性胃炎などが認められた場合は健康保険が適用されます。

内視鏡検査で胃がんが発見された場合は、がんの広がりや転移の有無を調べるため、画像検査(CTやMRIなど)が行われることがあります。

ピロリ菌が陽性だったら除菌治療を

ピロリ菌に感染し、長い年月を経て慢性胃炎(萎縮性胃炎)に移行すると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が再発しやすくなるだけでなく、胃がんが発生しやすくなることがわかっています。そのため、ピロリ菌が陽性の場合は、内服薬による除菌治療がすすめられます。

ただし、ピロリ菌を除菌できてもすでに慢性胃炎により胃粘膜が変化している場合は、胃がんのリスクがあるため定期的に胃がん検診を受けることが不可欠です。

原因不明の胃の症状が続く「機能性ディスペプシア」

慢性的な胃もたれや胃の痛みなどの症状が続いているのに、内視鏡検査で調べても異常が見つからない……最近はこのようなケースが増えています。これを「機能性ディスペプシア」といいます。

機能性ディスペプシアの原因としては、胃・十二指腸の運動機能の低下や、胃・十二指腸の知覚過敏(ちょっとした刺激でも症状を感じやすくなる)、不安感などの心理的要因、ピロリ菌感染、アルコール、喫煙、不眠などの生活習慣があげられており、これらがいくつか重なったり、影響し合ったりして起こると考えられています。

治療には消化管運動機能改善薬や胃酸分泌抑制薬などによる薬物治療を行いますが、ストレスの影響が大きいと考えられる場合は抗不安薬や抗うつ薬、そのほか胃腸の働きを改善する効果のある漢方薬(六君子湯)が用いられることもあります。薬物治療と同時に、原因となっている可能性のある生活習慣を改善し、ストレス対策を行うことも大切です。

 

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